【2025年版】旅好きが唸る!「ご当地B級グルメ」傑作10選─ 全国ご当地B級グルメ図鑑・第3弾 北海道・東北編 ─

【2025年版】旅好きが唸る!「ご当地B級グルメ」傑作10選─ 全国ご当地B級グルメ図鑑・第3弾 北海道・東北編 ─
【2025年版】旅好きが唸る!「ご当地B級グルメ」傑作10選─ 全国ご当地B級グルメ図鑑・第3弾 北海道・東北編 ─

《目 次》

  1. ご当地B級グルメの魅力をおさらい、第3弾は「北海道・東北編」
  2. 各地のおすすめB級グルメ10選
    2-①帯広(北海道)|香ばしくジューシーな「帯広豚丼」
    2-②十和田(青森県)|鉄板で炒めるご飯泥棒「十和田バラ焼き」
    2-③横手(秋田県)|半熟卵が決め手の「横手やきそば」
    2-④盛岡(岩手県)|クセになる濃厚麺「盛岡じゃじゃ麺」
    2-⑤石巻(宮城県)|黒く蒸し焼きが特徴の「石巻焼きそば」
    2-⑥山形(山形県)|夏の涼を楽しむ「冷やしラーメン」
    2-⑦会津(福島県)|サクッと甘辛「会津ソースカツ丼」
    2-⑧釧路(北海道)|豪快ジューシーな「釧路ザンギ」
    2-⑨山形(山形県)|秋の定番郷土鍋「いも煮」
    2-⑩青森(青森県)|意外な絶妙バランス「味噌カレー牛乳ラーメン」
  3. 旅の目的に“食”を加えると、旅がもっと深くなる
    3-①グルメ旅は「観光+α」の体験価値をくれる
    3-②ご当地グルメが“地域への愛着”を育てる理由
    3-③同じ料理でも“現地で食べる”ことで記憶に残る
  4. 現地で味わう vs お取り寄せ──B級グルメの楽しみ方ガイド
    4-①現地で味わう最大のメリットは「五感体験」
    4-②お取り寄せなら、自宅で“全国グルメ横断”が叶う
    4-③“どちらも楽しむ”が今どきのスタイル
  5. まとめ:次の旅は“味覚”から決めてみませんか?

1. ご当地B級グルメの魅力をおさらい、第3弾は「北海道・東北編」

日本各地に根づく個性的な料理の中には、「B級グルメ」として親しまれているものが数多く存在します。高級食材や格式にこだわらず、地元の人たちに愛され続ける身近な味。それこそがB級グルメの魅力です。旅先で偶然出会った屋台や食堂の味に感動した経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか?

このシリーズでは、地域ごとの特色が表れた“ご当地B級グルメ”に焦点を当て、味覚を通じて日本の多様な文化を紐解いていきます。第1弾では「関東・甲信越編」、第2弾では「近畿編」を取り上げました。そして今回は、北の大地・北海道から東北6県までをめぐる「北海道・東北編」広大な自然、寒冷な気候、独自の食文化が育んだバラエティ豊かな料理の数々をご紹介します。ジューシーな肉料理から麺料理、寒い地域ならではの郷土鍋料理まで、旅先でぜひ味わいたい絶品B級グルメです。

観光名所や温泉巡りに加えて、“現地の味”を楽しむことで、旅の楽しみはぐっと広がります。今回はそんな食の宝庫・北海道・東北地方の魅力をご紹介。次の旅行計画のヒントに、ぜひ最後までご覧ください。

2. 各地のおすすめB級グルメ10選

<北海道・東北エリアの人気ご当地B級グルメ10選>

香ばしくジューシーな「帯広豚丼」のイメージ
※画像はイメージです。

2-① 帯広(北海道)|香ばしくジューシーな「帯広豚丼」

北海道・十勝地方を代表するB級グルメといえば「帯広豚丼」。甘辛い特製ダレをたっぷりまとった豚肉が、炭火で香ばしく焼かれ、どんぶりいっぱいに贅沢に盛り付けられます。肉は厚切りのロースやバラ肉を使用し、表面はカリッと、中はジューシーに。ひと口ほおばると、濃厚な旨味と甘辛いタレがご飯に絡み合い、思わず箸が止まらなくなる味わいです。

「帯広豚丼」の香ばしくジューシーな豚肉
※画像はイメージです。

この料理のルーツは昭和初期、帯広市内の食堂が考案したといわれています。戦後の復興期、忙しい労働者たちに“手早く食べられて栄養満点の料理”として広まったのが始まりです。当時から続く老舗店では、創業以来継ぎ足してきたタレを使い、深みのある味わいを守り続けています。醤油と砂糖をベースにしたタレに、みりんや酒を加えて煮詰めることで、香ばしさの中にまろやかさとコクが生まれるのが特徴です。

近年では、十勝産のブランド豚を使用した高品質な豚丼も登場し、観光客にも人気。帯広駅周辺には専門店が軒を連ね、「豚丼街道」と呼ばれるほどの名所になっています。店によっては網焼き・鉄板焼きなど調理法も異なり、それぞれの香りや食感の違いを食べ比べる楽しみもあります。まさに帯広を代表する“ご飯が主役になる丼もの”の王者です。

2-② 十和田(青森県)|鉄板で炒めるご飯泥棒「十和田バラ焼き」

ご飯泥棒「十和田バラ焼き」のイメージ
※画像はイメージです。

青森県十和田市を中心に親しまれている「十和田バラ焼き」は、地元では知らない人がいないほどの定番B級グルメ。牛バラ肉とたっぷりの玉ねぎを、醤油ベースの甘辛い特製ダレで味付けし、鉄板で香ばしく焼き上げるスタイルが特徴です。熱々の鉄板の上でジュウジュウと音を立てながら焼かれる様子は、視覚と聴覚、そして嗅覚を刺激し、食欲を一気に掻き立てます。

鉄板で炒めるご飯泥棒「十和田バラ焼き」

この料理の最大の魅力は、肉の旨みと玉ねぎの甘みが一体となった“ご飯が止まらない”絶妙な味わい。玉ねぎは炒めることで自然な甘さが引き出され、とろっとした食感がバラ肉のジューシーさを引き立てます。タレは各店舗で微妙に異なり、代々受け継がれる秘伝のレシピを守り続けている店も多いため、食べ比べの楽しさもあるグルメです。

バラ焼きの発祥は、戦後まもない頃に地元で営まれていた屋台が始まりとされており、当時は安価でボリュームのある料理として地域の人々に重宝されていました。その後、家庭料理としても定着し、さらに地域活性化の一環として、2008年には「十和田バラ焼きゼミナール」という市民団体が結成され、バラ焼きの魅力を全国に発信する活動も展開中。ご当地グルメイベントでは全国から注目される存在となっており、B-1グランプリでも入賞経験を持つなど、その知名度と人気は年々高まっています。地元民だけでなく観光客からも「青森に来たら絶対食べたい一品」として高い評価を得ています。

2-③ 横手(秋田県)|半熟卵が決め手の「横手やきそば」

「横手やきそば」のイメージ
※画像はイメージです。

秋田県横手市を代表するB級グルメといえば、なんといっても「横手やきそば」。見た目のインパクトとともに、もちもちとした食感とまろやかな味わいがクセになる、ご当地ならではの焼きそばです。戦後の復興期に誕生したとされるこの料理は、いまや全国にその名を知られる存在となりました。

最大の特徴は3つあります。まずひとつは、太めのストレート麺。茹でてから蒸し焼きにすることで、独特のもっちりとした食感を生み出しています。ふたつめは、ソースの味付け。ウスターソースをベースとした甘めのタレが、麺とよく絡み、優しい味わいながらも奥深いコクを感じさせます。そして最後に最大のポイントとも言えるのが、トッピングされた「半熟の目玉焼き」。この黄身を崩して麺に絡めることで、まろやかさとコクが一気に増し、唯一無二の味わいへと変化します。

半熟卵が決め手の「横手やきそば」

具材は至ってシンプル。キャベツやもやし、ひき肉などが一般的ですが、逆にそれゆえに麺とソースのクオリティがストレートに問われます。地元の専門店では、創業以来の製法や味を守る老舗から、アレンジを加えた創作系までバリエーションも豊かで、何軒かを食べ歩いて味の違いを楽しむのもおすすめです。

また、横手市ではこのご当地グルメを地域おこしの柱としており、「横手やきそば四天王決定戦」や「よこて焼きそばサミット」など、地元主導のイベントも盛んに開催されています。地域全体がこの焼きそばをひとつの“観光資源”として活用しており、横手を訪れる観光客の多くが、グルメ目的で足を運んでいます。

冷凍食品やレトルト、イベント出店などを通じて全国的な知名度も高まりつつある「横手やきそば」ですが、やはり本場で食べる一杯は格別です。出来立ての熱々を頬張り、黄身がとろける瞬間に感じる幸福感は、旅の大切な思い出として心に残るでしょう。

2-④ 盛岡(岩手県)|クセになる濃厚麺「盛岡じゃじゃ麺」

クセになる濃厚麺「盛岡じゃじゃ麺」のイメージ
※画像はイメージです。

岩手県盛岡市を訪れたなら、ぜひ体験してほしいのが「盛岡じゃじゃ麺」です。盛岡冷麺・わんこそばと並んで“盛岡三大麺”のひとつに数えられるこのご当地グルメは、うどんのような平たい麺に特製肉味噌と薬味をたっぷりのせて、自分好みに混ぜて味わうスタイルが特徴。見た目はシンプルながら、その奥深い味わいと、ユニークな食べ方の楽しさで、近年は観光客からも注目を集めています。

じゃじゃ麺のルーツは、中国山東省の家庭料理「炸醤麺(ジャージャー麺)」にあるといわれており、戦後に地元の店がアレンジを加えて誕生したとされています。ただし、盛岡じゃじゃ麺は本場中国のものとは大きく異なり、まさに“盛岡流”に進化したご当地麺です。

太くてコシのある白い麺の上には、肉味噌(炒めた豚ひき肉と味噌を合わせた濃厚なペースト)がたっぷり。さらに、刻みきゅうり、長ねぎ、おろししょうがなどの薬味が添えられています。食べる際は、これらを全体によく混ぜ、さらにお好みで酢・ラー油・にんにくなどを加えて、自分だけの味を作り上げていくのが地元流。ひと口目はそのまま、途中から味変、最後はピリ辛と、段階的に味のグラデーションを楽しめるのが魅力です。

完成した「ちーたんたん」イメージ

そして忘れてはならないのが、食後の“締め”である「ちーたんたん」。じゃじゃ麺を食べ終えた後の器に、生卵を割り入れ、そこに茹で汁を注いでかき混ぜたスープ状の一品です。肉味噌のコクと卵のまろやかさが絶妙に合わさり、まるで別の料理のような満足感を味わえます。この流れこそが盛岡じゃじゃ麺の醍醐味であり、多くのリピーターを生む要因ともいえるでしょう。

地元盛岡にはじゃじゃ麺専門店が数多く存在し、創業50年を超える老舗から、新進気鋭のアレンジ系まで実にバリエーション豊か。提供スタイルも、温かい麺が基本ながら、夏季には“冷やしじゃじゃ麺”を提供する店舗もあり、季節ごとの楽しみ方も用意されています。

見た目は地味でも、食べてみるとクセになる不思議な魅力を持つ「盛岡じゃじゃ麺」。観光地としての盛岡の魅力とともに、地元に根づくユニークな味を、現地でぜひ体験してみてください。

2-⑤ 石巻(宮城県)|黒く蒸し焼きが特徴の「石巻焼きそば」

「石巻焼きそば」のイメージ
※画像はイメージです。

宮城県石巻市で愛されているソウルフード、それが「石巻焼きそば」です。一見すると普通の焼きそばとは違う、驚くほど“黒い”麺その見た目に驚かされる人も多いですが、実はこの色こそが石巻焼きそば最大の特徴であり、二度蒸し製法によって生まれる“旨みの黒”なのです。

この焼きそばの発祥は戦後の復興期にさかのぼります。物資が乏しかった時代、安価にお腹を満たせる料理として親しまれるようになったのがこの石巻焼きそば。地元の製麺所が工夫を凝らし、通常の蒸し工程を二回行うことで保存性を高めるとともに、麺に独特の香ばしさと弾力を与えることに成功しました。この製法によって麺が茶褐色から黒色に変化し、今ではこの“黒い麺”こそが石巻焼きそばの証しとなっています。

二度蒸し製法によって生まれる「石巻焼きそば」イメージ

石巻焼きそばは、一般的なソース焼きそばとは違い、魚介や昆布のだしを使って仕上げるのが主流。そのため、味わいは意外にもあっさりしており、じんわりと広がる旨味と奥行きのある風味が特徴です。具材はもやしや玉ねぎ、豚肉などのシンプルなものが多く、素材の味が際立つ調理法になっています。さらに、仕上げに目玉焼きをトッピングするスタイルも一般的で、とろりとした黄身を絡めて食べることで、まろやかさがプラスされ、まさに“完成された味”になります。

また、近年では地元のPR活動の一環として、石巻焼きそばを題材にしたB級グルメイベントへの出展や、冷凍食品・インスタント商品としての流通も拡大。遠方からのお取り寄せ需要にも応える形で、オンラインでも購入が可能になっています。観光の思い出としてだけでなく、自宅で気軽に石巻の味を楽しめるのも嬉しいポイントです。

見た目のインパクト、素材の味を活かしたやさしい出汁の風味、そして地域文化との深いつながり──。石巻焼きそばは、味だけでなく“背景にある物語”をも味わえるご当地グルメの代表格といえるでしょう。

2-⑥ 山形(山形県)|夏の涼を楽しむ「冷やしラーメン」

夏の涼を楽しむ「冷やしラーメン」のイメージ
※画像はイメージです。

「ラーメン王国」とも称される山形県で、ひときわ異彩を放つご当地グルメが「冷やしラーメン」です。名前の通り、冷たいスープで提供されるラーメンで、暑さの厳しい夏場にぴったりの一杯として知られています。見た目は一般的な醤油ラーメンと大きく変わらないものの、ひと口すすると、冷たさの中にもしっかりとした旨味とコクが感じられ、そのギャップに驚かされます。

冷やしラーメンの起源は1950年代。山形市内の老舗食堂が、夏場に熱いラーメンを敬遠するお客さんの声をきっかけに「冷たいスープでもおいしいラーメンを」と工夫を重ね、誕生したと言われています。トッピングはチャーシューやメンマ、ねぎ、なるとなど、王道の具材が基本。氷の入った丼の中に、見慣れた具材が並ぶ光景は、どこか“逆転の発想”を感じさせます。スープの冷たさにより、麺のコシも一層際立ち、最後の一口までさっぱりと楽しめるのが魅力です。

現在では、山形市を中心に県内各地のラーメン店が冷やしラーメンを提供しており、夏の定番メニューとして根づいています。県外のラーメンイベントでも注目を集め、暑い時期に恋しくなる“涼味”としてファンを拡大中です。

「暑い日に、あえて冷たいスープで食べるラーメン」というユニークな発想に、山形ならではの食文化と創意工夫が感じられます。夏に山形を訪れたら、ぜひ本場の一杯で涼を味わってみてください。

2-⑦ 会津(福島県)|サクッと甘辛「会津ソースカツ丼」

サクッと甘辛「会津ソースカツ丼」のイメージ
※画像はイメージです。

福島県の会津地方には、全国的にも知名度の高い「会津ソースカツ丼」という名物があります。通常の卵とじタイプのカツ丼とは異なり、揚げたてのとんかつに特製のソースをたっぷりと絡めてご飯にのせるスタイルが特徴で、そのシンプルながら豪快な見た目と、甘辛くてパンチのある味わいが魅力です。

使われるソースは店ごとに異なり、ウスターソースをベースにフルーツや野菜の旨味を加えた甘辛ダレが主流。カツに染み込ませることで、外はサクサク、中はジューシーな肉の旨味が際立ちます。一口頬張ると、カツの香ばしさとソースの深みが絶妙に絡み合い、どこか懐かしさを感じる味わいが口いっぱいに広がります。

「会津ソースカツ丼」のアップ

会津地方では、このソースカツ丼を提供する専門店や老舗食堂が多く、各店が継ぎ足しのソースを守り続けており、まさに“味の系譜”を感じられる一品となっています。また、タレの濃さやカツの厚み、衣のサクサク感にもそれぞれのお店のこだわりがあり、食べ歩きを通して違いを楽しむのも旅の醍醐味です。がっつり系でボリュームもあるため、腹ペコの観光客にも大満足の内容。地元の方々にとっては“母の味”として親しまれており、家庭でも頻繁に食卓に上がる定番料理です。まさに会津の食文化を象徴するローカルフードといえるでしょう。

また近年では、B級グルメブームに乗って全国的な知名度も上昇中。駅弁やお取り寄せグルメとしても人気があり、手軽に自宅で本場の味を楽しむことも可能です。しかし、やはり炊き立てご飯と揚げたてカツの一体感を味わうなら、現地での食体験に勝るものはありません。次の福島・会津旅行では、歴史と自然だけでなく、ぜひこのソウルフードも旅の目的に加えてみてください。

2-⑧ 釧路(北海道)|豪快ジューシーな「釧路ザンギ」

豪快ジューシーな「釧路ザンギ」のイメージ
※画像はイメージです。

北海道・道東エリアの港町・釧路で長年愛されてきたソウルフード「ザンギ」は、いわば“北海道版の唐揚げ”とも言えるご当地B級グルメ。中でも釧路のザンギは、一般的な唐揚げと一線を画す特徴を持ち、その豪快でジューシーな味わいは観光客の間でも評判です。

ボリュームのある「釧路ザンギ」のイメージ

ザンギの魅力は、なんといってもそのしっかりと染み込んだ下味。生姜やにんにく、醤油ベースの秘伝ダレに長時間漬け込んだ鶏肉を、片栗粉や小麦粉を混ぜた衣で包み、高温でカリッと揚げることで外は香ばしく、中は驚くほどジューシーに仕上がります。見た目のインパクトもさることながら、食べ応えのあるボリューム感も大きな魅力。ザンギ単体でも主役級ですが、ご飯との相性も抜群で、どんぶりスタイルで提供する店舗も多くあります。

釧路市内には専門店や居酒屋、弁当店まで、さまざまな形でザンギを提供する店が点在しており、骨付きの豪快な一枚肉を提供するタイプや、小さめの一口サイズで食べやすさを重視したタイプなど、スタイルも多様。観光で訪れた際は、複数の店舗を食べ比べる“ザンギめぐり”もおすすめです。

北海道の広大な自然の中で育まれた食材の旨味を閉じ込めた一品でありながら、気取らずに楽しめるのがザンギの良さ。まさにB級グルメの王道を行く存在と言えるでしょう。

2-⑨ 山形(山形県)|秋の定番郷土鍋「いも煮」

秋の定番郷土鍋「いも煮」のイメージ
※画像はイメージです。

山形県に秋の訪れを告げる風物詩──それが「いも煮」です。いも煮とは、里芋をメインに牛肉、こんにゃく、ねぎなどを、甘辛い醤油味で煮込んだシンプルながら滋味深い鍋料理。地元では“いも煮会”と呼ばれるアウトドアイベントが定番で、河川敷に集まり、巨大鍋を囲んでいも煮を楽しむ文化が根づいています。

使用される牛肉は、脂の甘みが感じられる国産和牛が好まれ、じっくり煮込むことで旨みがスープ全体に広がります。里芋はとろりと柔らかく煮え、食感も豊か。そこへ加わるのが、味の決め手となる“割り下”に近い甘辛の醤油だれです。家庭ごと、地域ごとに微妙な味の違いがあり、それぞれの“いも煮の味”が存在するのもまた魅力のひとつでしょう。

なお、庄内地方(山形県西部)では、豚肉を使い、味噌仕立ての“味噌いも煮”が主流で、同じ県内でも味付けや食材が異なるのが特徴です。こうした地域ごとの違いを楽しめるのも、B級グルメならではの面白さと言えます。

観光シーズンである秋になると、山形市内を流れる馬見ヶ崎川沿いでは、期間限定で「日本一のいも煮会フェスティバル」が開催され、6メートルを超える大鍋で数万人分のいも煮が振る舞われる一大イベントになります。こうした地域をあげた取り組みにより、いも煮は単なる料理を超え、山形県民の心を象徴する“食文化”へと発展しています。

寒くなり始める季節に、身体の芯から温まる一杯。旅行のタイミングが秋であれば、現地でのいも煮体験はぜひ旅の一環として加えていただきたい一品です。

2-⑩ 青森(青森県)|意外な絶妙バランス「味噌カレー牛乳ラーメン」

「味噌カレー牛乳ラーメン」のイメージ

「味噌カレー牛乳ラーメン」という一風変わった名前に驚く人も多いでしょう。しかしこの一杯、青森市民にとっては長年親しまれてきた“ソウルフード”です。

一説によれば、地元の中高生たちが味噌ラーメンにカレー粉や牛乳を勝手にトッピングして楽しんでいた「遊び食文化」から着想を得た飲食店が、その組み合わせを本格的にメニュー化したのが始まりとされています。その店が現在も営業している「味の札幌 大西」。ここでは、濃厚な味噌スープにスパイシーなカレー粉、そしてまろやかな牛乳を加えた三位一体のスープが特徴です。仕上げにはバターをトッピングし、コクと香りを加えることで、見た目以上に完成度の高い味わいに仕上がっています。

「味の札幌 大西」
※画像はイメージです。

トッピングはチャーシュー、もやし、メンマ、ワカメなどが一般的で、ラーメンとしてのボリューム感も申し分なし。スープは一見ジャンキーですが、味噌・カレー・牛乳のバランスが見事で、意外にも優しい口当たりがあり、一度食べたらクセになると評判です。

このラーメンは観光客にも人気が高く、近年は「青森B級グルメツアー」などでも必食メニューとして紹介されることが増えています。ラーメン激戦区として知られる北海道と比較されることもありますが、青森のこの一杯は、独自の進化を遂げた“東北発の創作ラーメン”として、確固たる地位を築いています。インパクトある名前と裏腹に、どこか懐かしさを感じさせる味。それが「味噌カレー牛乳ラーメン」の最大の魅力です。青森を訪れた際は、ぜひ現地で本場の一杯を体験してみてください。

3. 旅の目的に“食”を加えると、旅がもっと深くなる

旅行の目的といえば、観光名所や自然、温泉、文化体験などが定番です。しかし、そこに「食」を加えることで、旅はより五感に響く、深みのあるものになります。とりわけ、B級グルメのように地域の暮らしや歴史に根差した“地元の味”は、旅先でしか味わえない特別な体験をもたらしてくれます。

3-① グルメ旅は「観光+α」の体験価値をくれる

例えば、同じ観光地を訪れるとしても、「この街には●●が名物だから、それを食べたい」といった“食の目的”が加わるだけで、旅の計画は格段にワクワク感を増します。観光スポットの合間に訪れる食堂や屋台、地元民に愛される名もなき食事処──そうした“もう一つの目的地”が生まれるのです。

B級グルメは、高級なレストランやミシュランガイドとは違い、気取らず手軽に立ち寄れるのも魅力のひとつ。ふらりと立ち寄った町で、地元の人々と同じメニューを味わうことは、観光だけでは得られない“生活のリアリティ”を感じるきっかけにもなります。

また、近年ではご当地グルメを目当てにエリアをまたぐ“グルメドライブ”や“食べ歩き旅”の人気も高まりつつあります。地域の食文化に直接触れることで、その土地への愛着や思い出も、より深く心に残るのです。

3-② 同じ料理でも“現地で食べる”ことで記憶に残る

B級グルメは、その土地の風土・歴史・文化が詰まった“食のストーリーテラー”とも言えます。たとえば、十和田バラ焼きのように戦後の屋台文化がルーツだったり、冷やしラーメンのように気候に合わせた工夫から生まれた料理であったりと、それぞれに背景があります。

こうした背景を知ることで、ただの“ご飯”が“体験”へと昇華します。「あの街のあの味、また食べたいね」と思えるような記憶は、単なる観光の思い出以上に強く印象に残るものです。さらに、地域ごとに異なる調理法や食材、調味料の使い方に触れることは、食への理解を深める学びにもなります。

また、地元の食を愛する人々の熱意──名物を守り続ける老舗店の店主や、地域を盛り上げようとするイベント運営者などとの出会いも、旅の感動を豊かにしてくれる要素です。

3-③ グルメ旅は「観光+α」の体験価値をくれる

最近では「お取り寄せグルメ」や「ご当地フェア」で、全国の名物料理を自宅でも楽しめるようになりました。もちろんそれも素晴らしい体験ですが、やはり“現地で味わう”という行為には格別の価値があります

たとえば、冷えた空気のなか、山形の河原でいただく熱々のいも煮。釧路の港町で潮風を感じながらかぶりつくザンギ。帯広で炭火の香りが立ち込める中で頬張る豚丼──そうした環境と味覚の掛け合わせが、“味の記憶”をより鮮明に残してくれるのです。

旅行とは“非日常”を味わう行為であり、現地で食べるご当地グルメは、その体験を象徴するエッセンス。SNS映えや情報収集にとどまらず、自分自身の「旅の物語」を紡ぐための重要な要素として、ぜひ“食”を旅の軸に据えてみてください。

4. 現地で味わう vs お取り寄せ──B級グルメの楽しみ方ガイド

B級グルメは、現地での臨場感とともに楽しむのが醍醐味──そう思われがちですが、近年では「お取り寄せ」や「地域フェア」など、さまざまな形でその魅力に触れられるようになりました。ここでは、“現地で味わう楽しみ”“自宅で再現・堪能する楽しみ”それぞれの魅力と活用法をご紹介します。

4-① 現地で味わう最大のメリットは「五感体験」

現地で食べるB級グルメのイメージ
※画像はイメージです。

その土地に行って食べるご当地グルメには、味だけではない“体験価値”が備わっています。例えば、炭火の香ばしい匂い、店内に響く調理の音、地元の人々との会話、地元の空気感──それらすべてが“味の一部”として記憶に残ります。

また、現地の店舗でしか味わえない限定メニューや、地元野菜や水、調味料によって左右される「その地ならではの味」が存在するのもポイント。調理直後の熱々の状態で味わえるのは、やはり現地ならではの贅沢です。

食べ歩きや屋台イベントでは、複数の名物グルメを一度に体験することもでき、旅の楽しさが倍増。グルメを目的に旅する“食の旅人”にとっては、現地訪問は欠かせないアクションなのです。

4-② お取り寄せなら、自宅で“全国グルメ横断”が叶う

一方で、物理的な距離や時間の制約を超えて、B級グルメを楽しめる手段として「お取り寄せ」のニーズは年々高まっています。冷凍・冷蔵技術の進化により、現地と遜色ない味を自宅でも手軽に再現できるようになり、オンラインショップや道の駅のECサイト、ふるさと納税を活用する人も増えています。

特に、ラーメンや焼きそば系は「スープ・タレ・麺・具材」がセットになったお取り寄せキットが豊富で、調理も簡単。家族や友人と楽しむ“ご当地グルメパーティー”にも最適です。また、「一度現地で食べた味をもう一度味わいたい」「次の旅行の予習として」など、さまざまな目的で活用できます。

「お取り寄せグルメ」のイメージ
※画像はイメージです。

さらに最近では、地域おこしや被災地支援の一環として、お取り寄せを通じて現地を応援する動きも広がっており、消費活動が“地域支援”にもつながる点も魅力です。

4-③ “どちらも楽しむ”が今どきのスタイル

現地での感動体験と、自宅でのくつろぎ体験──どちらが良いかではなく、どちらも味わってみるのが、今どきのB級グルメの楽しみ方です。

たとえば、旅先で感動したグルメを帰宅後に再度取り寄せ、家族と共有したり、SNSで紹介して“思い出を再現”したりと、食の楽しみは旅後にも続きます。また逆に、取り寄せで気に入ったメニューを、次の旅行の目的地に加えるという「逆ルート」もおすすめです。

「知ってる味」だからこそ、現地で本物を食べたときの感動が増す──そんな楽しみ方ができるのも、B級グルメの懐の深さと言えるでしょう。

5. まとめ:次の旅は“味覚”から決めてみませんか?

旅の目的地を「観光名所」や「温泉」ではなく、「食」から選ぶ──そんな旅のかたちは、これまで以上に深い体験を与えてくれます。B級グルメは、ただお腹を満たすためのものではなく、その土地に根ざした文化や人々の暮らし、歴史を肌で感じさせてくれる“食の物語”そのものです。

今回ご紹介した北海道・東北エリアの10品は、いずれもその土地で長く愛され続けてきた味ばかり。旅先で地元の人と語りながら頬張る豚丼、屋台で香ばしく焼かれる焼きそば、寒い季節に体の芯から温まるいも煮──どれもが旅の記憶に残る「もうひとつの観光資源」です。

そして現代では、お取り寄せという手段を使って、自宅でもその魅力を体験することができます。現地の味を再現し、味の記憶を家族と共有したり、次の旅先のヒントにしたりと、“味覚の旅”は日常にも広がりを見せています。旅の満足度を決めるのは、観光地の絶景だけではありません。次の旅行計画には、ぜひ「ご当地B級グルメ」の視点を加えてみてください。そこには、まだ知らない日本の魅力が、きっと待っています。

《一緒によく読まれている記事》